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相手方が医療費を支払ってくれない場合の対処法

カテゴリ: その他

1 はじめに
 交通事故に遭った場合、被害者は加害者に対し、賠償金を請求することでき、その中に医療費も含まれます。
 しかし、加害者が無資力の場合、被害者自身が医療費の工面をせざるを得ません。
 そのような場合に、考えられる対策や注意事項についてお伝えします。
  
2 御自身が契約している保険より支払ってもらう
 ⑴ 人身傷害保険・人身傷害特約の使用
 御自身が契約されている自動車保険の中に「人身傷害保険」または「人身傷害特約」との項目や特約があれば、この保険から、医療費を支払ってもらうことができます。
 自動車保険に加入されている場合、まずはご加入の保険会社に確認してください。
 なお、人身傷害保険等を使う場合でも、医療費全部を人身傷害保険から支払うのではなく、健康保険を使用した際の3割の窓口負担分についてのみ、人身傷害保険から支払うとする保険会社もあるようです。
 支払われる保険金の範囲について、保険会社に確認してみてください。
 

 ⑵ 日額の補償を受け取る
 医療費と併せて、あるいは医療費そのものは保障対象ではないが、通院・入院の日数に応じて保険金を支払ってくれる保険契約があります。(例:通院1日当たり5000円を支払う契約で、5日通院したのであれば、合計2万5000円の保険金を支払うとするものなど。)
 医療費そのものの支払はなくとも、日額の支払を受けることで、医療費支払による負担を軽減できます。

 

3 健康保険・労災保険にて受診する
 ⑴ 健康保険と労災保険の区別
 どちらも、医療費の支払に対応した保険ですが、役割分担があります。
 お勤めされている方が、勤務中または通勤の途中(帰路も含む)にて事故に遭った場合は、労災保険を使用し、それ以外は健康保険を使用することが法律で定められています。
 労災保険の対象となる事故であるにもかかわらず、健康保険を使用した場合、健康保険から、健康保険の負担分7割について、被害者から健保への支払を求められることがありますので、注意してください。

 

 ⑵ 健康保険を使用する場合
 この場合、交通事故によりけがをしたことの届け出(第三者行為による傷病届)とこれに付随した書類(事故の状況図など)が必要となります。
 必要な書類の詳細については、健康保険の担当者にご確認ください。

 

 ⑶ 労災保険を使用する場合
 所定の申請用紙(労働基準監督署の窓口のほか、厚生労働省のホームページより取得することも可能です。)に記載した上、労災保険の指定病院窓口に提出すれば、健康保険と異なり、被害者からの支払なし(全額、労災保険が負担)にて、受診することができます。
 申請用紙には、お勤め先の会社に証明してもらう欄がありますので、お勤め先の協力を得る必要があります。
 もし、協力が得られない場合は、労働基準監督署にご相談ください。
 会社の証明なくして、労災保険からの給付を受けられる場合があります。
  
4 自動車賠償責任保険を使用する
 事故証明により、相手方の自動車賠償責任保険の有無、保険会社名及び契約番号などを確認することができます。
 記載の保険会社に連絡すれば、手続について教えてもらうことができます。
 また、自動車事故で、相手方が自動車賠償責任保険に加入していなかった場合でも、自動車賠償責任保険から支払を受けることができる制度(政府保障事業)があります。
 この場合、自動車保険を取り扱っている保険会社のいずれかの窓口にて申請すれば、手続をしてもらえます。
 ただし、自動車賠償責任保険の場合、支払限度額について低く設定されている上に、いったん、被害者にて医療費等を支払った後でないと請求できない(領収書などを提出しないと支払ってもらえない)という難点があります。

 

5 おわりに
 事故の加害者が、任意保険に加入してないケースは、残念ながら少なくありません。
 また、自転車との衝突事故などのように、相手方が自動車保険に加入していない交通事故も増えています。
 相手方が保険に入っていないことに備え、御自身の保険契約を見直すことをお勧めします。

 交通事故に関するご相談は、お気軽に弁護士法人心へお問合せください。
 

裁判で時間がかかる理由

カテゴリ: その他

1 はじめに
 事故の賠償金を取得するまでの、示談(任意の話し合い)による解決と、裁判による解決とを比較した場合、裁判のほうが時間がかかると一般的に言われています。
 その理由について、お伝えします。
  
2 手続が厳格であること
 示談の場合、どのような書類を提出するかについて、一般的な決まりはありません。
 決まりがないからといって、何でもありというわけではなく、被害者側の請求や主張が、相手方関係者(相手方が契約している保険会社を含む)に正しく伝わらなければなりませんが、提出すべき書類の種類や、提出期限が定められているものではありません。
 これに対し、裁判では、提出すべき書類が定められています。
 例えば、訴え提起をする際には、訴状、証拠書類のほかに、所定の印紙・切手の添付や、被告の人数分の書類(訴状と証拠書類の写し)を作成して提出しなければなりません。
 また、請求の内容ごとに、最低限明らかにしなければならない事実が定められており、必要な事実が漏れていると、請求が認められないということになってしまいます。

 

3 裁判官が関与すること及び期日が定められていること
 ⑴ 裁判官の関与
  裁判の手続は、事故の被害者と加害者(加害者が契約する保険会社)による話し合いがうまくいかない時に開始されます。
  話し合いが順調に進むのであれば、あえて時間や費用をかけてまで裁判をする必要はないためです。
  裁判では、裁判官が最終的な判断を行いますが、その前提として、相手方のみならず、裁判官にも必要な内容を伝え、理解してもらう必要があります。
  一般的に、裁判官は多忙であり、複数の事件を担当しているため、裁判官が事件の内容を把握するまでに、時間がかかってしまうことがあり、結果として、解決までの時間を要することがあります。


 ⑵ 期日が定められていること
  示談の場合、双方が各自の判断に応じて必要な書類を相手方に送り、その返答を待つこととなり、送る時期や回答の時期について決まった期限はないのが通常です。
  これに対し、裁判では、手続を行う日(期日)が定められ、期日以外の日において手続を進めることはありません。
  期日が定められることにより、事件の進行が遅れてしまうことがあります。

 

4 不服申立てができること
 裁判所が出した判決に対しては、最終審である最高裁の判決を除き、不服を申し立てることができます。
 不服に対する審査は、これまでとは別の裁判官が、最初から検討し、判断することになります。
 いわば、これまで他の裁判官が行っていた検討が、いったんリセットされるのと同じですから、その分、最終的な結論が出るまでに時間がかかることになります。

 

5 裁判の利点
 これまで、裁判によった場合に時間がかかる理由についてのみお伝えしましたが、裁判には、示談にはない利点があります。
 それは、裁判の判断に拘束力・強制力があり、公的な機関が一定の結論(事故による損害賠償請求の場合は、損害賠償金支払の要否と、賠償金を支払うべきとされた場合の賠償金の金額)を示すことにより、最終的な解決が図られる、ということです。
 手続が厳格であるのは、その判断が強制力・拘束力を有するが故に、慎重に判断するためのしくみとして、厳格な手続とされたものです。

 

6 おわりに
 解決の早さという点では、裁判によらずに示談にて解決するに越したことはありません。
 しかし、事案によっては、裁判によらざるを得ないこともありますので、専門家である弁護士にご相談ください。

裁判基準の示談金よりも自賠責保険金が上回る場合

カテゴリ: その他

1 はじめに
 自動車賠償責任保険における保険金の算定方法(以下「自賠基準」といいます。)と、裁判あるいは示談での賠償金の算定方法(以下「裁判基準」といいます。)とでは、算定方法に異なる点があります。
 この違いにより、同じ事故による損害について、一般的には、裁判基準による金額が、自賠基準による金額を上回ることのほうが多くなりますが、まれに、自賠基準による金額が裁判基準による金額を上回ることがあります。
  
2 自賠基準と裁判基準の違い
  以下のような違いがあります。
 ⑴ 入通院慰謝料算定方法の違い
  自賠基準では、治療期間中の入通院日数の2倍の日数と、治療期間全体の日数を比較し、いずれか少ない方に、1日当たり4300円を乗じて算定します。
  これに対し、裁判基準では、日数ではなく入通院期間に応じて慰謝料額を算定します。
 ⑵ 休業損害について
  通院したことによる休業損害について、裁判基準では、通院に要した時間に応じて算定し、全日休業したとして算定することはしないのが一般的です。
  しかし、自賠基準における休業損害は、1日当たりの実際の休業時間にかかわらず、最低でも1日当たり6100円が支払われます。
 ⑶ 過失相殺について
  裁判基準では、双方に過失がある場合、過失の程度にかかわらず、必ず過失相殺が行われます。
  これに対し、自賠基準では、被害者の過失割合が7割以上の場合に限り、自賠責保険から支払われる金額を減額することとしています。
  このため、自賠基準では、多くの場合、被害者の過失による減額はされないこととなります。

 

3 自動車賠償責任保険からの支払額上限について
 けがによる自賠責保険からの支払限度額は、医療費、入通院慰謝料、通院のための交通費及び休業損害を含め、合計120万円までとされています。
 このため、入通院日数が多く慰謝料が高額となった場合でも、120万円を超えることを理由に、慰謝料の一部しか支払われないことがあります。
 例えば、医療費が60万円、休業損害が30万円及び慰謝料40万円の合計130万円が発生したとしても、自賠責保険からの支払額は、120万円にとどまります。
 しかし、運行供用者及び運転者のいずれにも当たらず、複数の自動車が関与する事故に遭った被害者の場合、上記120万円の上限が、120万円×関係者の数を乗じた金額に拡大されます。
 各加害者が契約する自賠責保険それぞれより、支払を受けることができるためです。
 例えば、タクシーであるA車に乗客として乗車中、B車と衝突する事故に遭い、この事故について双方の運転手に責任(過失)がある場合、乗客に対する自賠責保険からの支払上限額は、120万円×2=240万円となります。

 

4 自賠責基準が裁判基準を上回った例
 この事例では、裁判基準による算定額(既払金を除く)が約110万円であったのに対し、自賠基準による算定額(同)は約180万円となりました。
  以下の4つの事情が、その原因です。
 ⑴ 通院慰謝料について、通院日数が多かったことにより、自賠基準のほうが裁判基準を上回った。
 ⑵ 休業損害について、自賠基準に基づき、通院日全てについて1日当たり6100円の金額が支払われたことにより、この金額が、実際の収入及び休業時間(通院に要した時間)よる金額を上回った。
 ⑶ 裁判基準では過失相殺による減額がされたのに対し、自賠基準では減額されなかった。
 ⑷ 2つの自賠責保険からの支払を受けることができ、自賠責保険金の上限が240万円となったことで、一般的な事例よりも高額な慰謝料・休業損害であっても、そのほとんどが支払われた。

 

5 まとめ
 今回お伝えした事案のように、事案によっては、自賠基準が裁判基準を上回ることがありますので、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。

車両保険加入の利点について

カテゴリ: その他

1 はじめに
 法的に加入義務のある自動車賠償責任保険に加え、任意保険にも加入しておくべきことについて、以前にお伝えしましたが、今回は、車両保険加入による利点についてお伝えしたいと思います。
 車両保険(御自身の車両が事故により損傷した場合に、修理費用などを、事故の相手方ではなく御自身の保険会社に支払ってもらうための保険。)の加入率は、任意の賠償責任保険(事故の相手方に対する賠償金を保険会社に支払ってもらうための保険。)に比べ低いとの統計があります。(賠償責任保険が70%台であるのに対し、車両保険は40%台)
 加入率が低い理由について、車両保険の保険料が比較的高めであることが理由と思われます。
 しかし、弁護士として交通事故の案件を扱っている立場からすると、車両保険には、次のような利点があり、できれば加入することをお勧めします。
  
2 相手方が任意保険に加入していないことに対する備え
 自動車賠償責任保険は、死亡やけがに対する賠償のための保険であり、物損(車両の損傷など、物の損害。)は対象外です。
 これに加えて、自動車賠償責任保険は、これに加入していない場合は法律違反となり、場合によっては刑罰に処せられるとの強制力があるのに対し、物損に関する保険については加入義務がないため、物損の方が「事故の相手方が保険に加入していなかった」となる可能性が高くなります。
 そして、相手方の資力が不十分であったり無資力である場合には、仮に裁判で勝訴したとしても、相手方から必要な支払を受けることができない、ということがあり得ます。
 これに対し、車両保険に加入しておけば、必要な費用を御自身の保険会社から支払ってもらうことができるため、支払ってもらえないとの事態を回避することができます。

 

3 相手方保険会社とのトラブル回避
 相手方が任意保険に加入しており、必要な賠償額が支払われることについて確実であったとしても、実際の支払までには、相手方本人や相手方の保険会社との間で、過失割合や実際の損害額についての合意することが必要であるところ、事案によっては、合意ができず、裁判までもつれてしまうことがあります。
 このような場合、車両保険に加入していれば、過失割合に関係なく、必要な費用の支払を受けることができ、相手方とのトラブルを避けることができます。

 

4 保険料の値上がりについて
 車両保険を使用した場合、その後一定期間、保険料が値上がりしますが、このことも車両保険加入率が低い理由かもしれません。
 しかし、昨今の車両保険の中には、無過失特約といって、被害者に過失がなければ、車両保険を使用しても保険料の値上がりがないとの特約があります。
 事故の中で一番数が多いと思われるのが「停止中、相手車両に追突された」という類型であり、被害者に過失がない事故であるため、無過失特約があれば、車両保険使用による保険料の値上がりを避けることができる可能性があります。

 

5 相手方の物損提示額の妥当性の確認
 相手方が任意保険に加入している場合、物損に対する確認は、相手方保険会社により行われるのが一般的です。
 相手方保険会社には、相手方が賠償責任を負う場合には保険金支払義務があり、その前提として、上記確認を行う必要があるためです。
 しかし、車両保険に加入している場合には、御自身の保険会社も同様の義務を負うため、確認作業を行うこととなります。
 これにより、相手方が示す物損の額が妥当かどうか、御自身の保険会社の見解と比較して判断することができます。

 

5 おわりに
 最後は、保険料支払によるご負担を踏まえての判断かとは思いますが、車両保険の必要性について、見直していただければと思います。

裁判のメリットとデメリット

カテゴリ: その他

1 はじめに
  多くの方は、「裁判はお金と時間がかかる」というイメージを持たれているのではないかと思います。
  なぜ、そのようなイメージとなってしまうかについて、裁判による紛争解決と、裁判によらない解決(このような解決方法を「示談」といいます。)を比較すると、わかりやすいかと思います。
  
2 訴え提起に係る印紙代など
  裁判による訴えでは、原告の経済状態が苦しいこと及び勝訴の見込みがあることを裁判所が認めた場合を除き、請求額に応じた印紙を訴状に貼らなければならないことになっています。
  また、裁判でのやりとりにおいては、訴状の送達など、書類の郵送が必要となる場合があるため、印紙代の他に、裁判所より指示された切手を一緒に納めることになっています。
  これに対し、示談の場合は、あくまで当事者間の協議であるため、印紙代や切手代の納付義務はありません。
  また、裁判所以外の紛争処理機関、例えば交通事故紛争処理センターでの話し合いを進める場合でも、印紙代や切手代の納付は不要とされています。
  ただし、御自身が加入する保険に、弁護士費用特約が含まれている場合は、弁護士への報酬以外に、裁判にかかる費用も保険にてまかなうことができるため、上記の経済的負担は軽減されることになります。

 

3 解決までの時間について
  裁判の方が時間がかかりやすいことは事実です。
  といいますのは、裁判以外の示談や紛争処理センターの場合、当事者の合意ができなければ紛争解決とはなりませんが、裁判の場合は、協議ができなければ、最後は必ず裁判所が一定の判断(判決)を示すことになっています。
  そして、この判決は、裁判所という国の機関の判断ということになり、これが確定すれば、当事者の意向とは無関係に、関係者を拘束することとなります。
  判決は、このような重大な効力を持っているため、判断する裁判所としても、慎重な検討をせざるを得ず、その分、判断が出されるまでに時間がかかることになってしまいます。
  また、裁判以外の解決方法では、ドラマの法廷シーンで出てくるような証人尋問が行われることは、まずありませんが、逆に裁判の場合は実施されることが多いので、これも時間がかかってしまう原因となっています。

 

4 裁判と、裁判以外の紛争解決方法の使い分け方
  交通事故の場合、これまで多数の事故と、これに対する裁判が積み重ねられてきたことにより、他の類型の事件以上に、結論の見通しが立てやすいことが多いです。
  このような見通しの立てやすい事件は裁判以外の紛争処理方法に委ね、これ以外の本当に難しい事案について、裁判に委ねる、といった使い分け方が考えられます。

 

5 おわりに
  弁護士に事件解決を相談あるいは依頼される際、どのような方法により解決すべきかについても、弁護士とよく相談されることをお勧めします。

裁判と示談の違い

カテゴリ: その他

1 交通事故に限らず、紛争が生じた場合、いきなり裁判となるのではなく、まずは当事者間での協議から始まることが多く、また、交通事故の事件では、裁判までに至らずに解決に至っているものが数多くあります。
  
2 いきなり裁判とせずに、協議から始めるのは、紛争をなるべく避けたい、穏便に解決したいということももちろんありますが、やはり、裁判となった場合、時間と費用を要することがその理由ではないかと思います。
  昨今は、新型コロナの流行を契機として、裁判所にでかけなくても、電話やウエブ会議で裁判手続を進めることができるようになってきましたが、それより前の時期では、裁判所に出かけるだけでも時間と費用を要する状態でした。

 

3 これに対し、示談の場合は、多くは文書と電話でのやりとりで協議を進めるため、出かける時間や費用はかかりません。
  また、裁判所での手続ですと、手続を進める日(期日)が定められ、多くの場合、期日は1か月に1回程度の割合で指定されるため、手続の進行が制限されることとなりますが、示談の場合は、期日に縛られずに、双方が柔軟に進行することができるため、当事者の合意ができれば、裁判よりも早期に解決することができます。
  さらに、合意の際、支払をすることとなる当事者は、合意した金額について支払うことができるかどうかを考えた上で合意するのが通常ですので、合意したにもかかわらず、支払をしないという事態を避けることができます。

 

4 もっとも、話し合いができなければ、裁判によらざるを得ません。
  裁判には、当事者の意向にかかわらず、第三者が公的な見解(結論)を示し、これを確定させるという機能があるためです。
  その一方で、裁判所は、あくまで「結論」を示すだけであって、例えば、判決が「〇〇円を支払え」との内容であった場合、判決後、このとおり支払われるかについては、判決では全く考慮しません。
  また、支払うべき相手方に財産がなければ、「ない袖は振れない」のことわざのとおり、判決があっても支払を受けられないということもありえます。

 

5 このため、まずは話し合いから進め、どうしても話し合いができない場合に裁判に進む、との手順になります。
  また、裁判となった場合でも、その中で話し合いができれば、和解といって、一方的な判決によるのではなく、双方の合意に基づく解決をする手続も用意されています。
  話し合いの際、被害者と加害者との二者では合意できなかった者が、裁判所という第三者が関与し、その見解を考慮することで、合意ができることもあるためです。

 

6 私ども弁護士としては、裁判と示談のそれぞれの違い、長所と短所を踏まえた上で、適切な解決ができるよう、お手伝いさせていただければと考えております。

  東京で弁護士をお探しの方はこちらをご覧ください。

交差点事故と過失割合

カテゴリ: その他

1 交差点に対する道路交通法の規定
  交差点は、複数の車両や人が行き交う場所であるが故に、事故が起こりやすい場所となっています。
  このため、道路交通法36条4項では「車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。」と定めています。
  簡単にまとめると、交差点を走行する車両は、他の車両や歩行者の動きに注意し、できる限り、安全に配慮して走行しなければならない、ということであり、互いに、事故を避けるための義務が課されていることになります。

 

2 過失割合について
 ⑴ 事故に遭われた経験がある方はご存じかもしれませんが、交差点での車両どうしの事故の場合、過失割合が問題となることが一般的です。
   過失割合は、事故に対する双方の責任の割合です。
   例えば、相手方の過失割合が100、自分の過失割合が0であれば、自分は相手方に事故による損害額全部を請求できる一方、相手方は1円も請求できません。
   過失割合が50:50であれば、互いに、相手方の損害の半分を賠償することになります。
   過失割合が問題となるのは、先ほどにお示しした道路交通法の条文のとおり、互いに事故を避けるための義務が課されていることによるものです。
   このため、片方の当事者が一方的に全部の責任を負うのは(過失割合が10:0となるのは)、赤信号を無視して交差点に進入した場合など、一部の事例に限られています。


 ⑵ 事故の当事者間の公平を期するため、事故の類型ごとに過失割合が定められ、これに従って、当事者間の交渉や裁判が行われています。
      このため、不幸にして遭遇した事故が、上記の類型に当てはまるものであれば、これに基づく過失割合を前提として示談や裁判がされるのが通例です。


 ⑶ 交差点の事故において、他方の過失割合が0とされることは、あまりありません。
      これは、上記の1でお伝えしたとおり、交差点を走行する車両双方に事故を避けるための義務が課せられていることによるものです。

 

3 過失割合が0とされる場合
 ⑴ 過失と結果回避義務違反
      単に過失というと、不注意であること、と思われるかも知れませんが、法律上の過失の本質は「結果回避義務違反」とされ、車両どうしの交通事故の場合であれば、事故を避けるために運転者としてすべき注意義務(安全確認義務、速度遵守義務など)を怠り、これが原因となって事故が発生したと認められる場合に、過失ありとされます。
      逆に言えば、運転者としての注意義務を尽くしていたにもかかわらず、事故を避けることができなかったのであれば、過失ありとはされません。
      例えば、交差点通過時、相手車が停止していることを確認して通過する途中、自車と相手車両が至近距離に接近したところで、急に相手車が発進し衝突した場合、自車としては、運転上の注意義務を尽くしており、かつ、至近距離で突然発進した相手車との衝突を避けることは不可能なので、自車は過失なし(結果回避義務違反なし)とされます。

 

 ⑵ 予見義務と信頼の原則
   結果回避義務を尽くすためには、事故発生の危険を予知する必要があります。
   例えば、交差点通過時においては、他の車両がいれば、その車両が不意に交差点に進入してくることを予想して、他の車両の動向に注意したり、速度を落とす(徐行する)といった結果回避義務が求められることになります。
   上記のように、結果回避義務を尽くす前提としての予見をする義務を、予見義務といいます。
    しかし、これを強調しすぎると、例えば、相手側の信号が赤であったとしても、相手が不意に発進してくることを予見しなければならない、といった過剰な予見義務と、これを前提とした結果回避義務が課されることとなり、かえって、円滑な交通が阻害されることになってしまいます。
     上記の例であれば、交差点に達するたびに、徐行・減速をしなければならないことになります。
     そこで、「相手方が交通ルールに沿った運転をすることを前提として行動すれば足りる」とのルールが判例によって認められており、これを「信頼の原則」といいます。
     信頼の原則があることで、過剰に予見義務が課されることを防ぐことができます。
     ただし、赤信号の交差点に猛スピードで進む車両に出くわした場合など、相手方が交通ルールに沿った運転をすることが期待できない場合には、前提となる「交通ルールに沿った相手方の運転」がすでに崩れていることから、信頼の原則は適用されず、他車は青信号であっても交差点に進入しないことにより相手車との衝突を避けるなどの、結果回避義務が求められることになります。
   
4 過失割合の変更
    過失割合は、双方の事故時の速度や、合図の有無(ウインカーの点滅の有無)などにより変わる可能性がありますが、一瞬で発生する事故において、これらの事実を確認することには困難が伴います。
    昨今は、ドライブレコーダーの画像を参照し、静止画での再生や低速での再生をすることなどにより、事故の態様や、合図の有無のような事実の有無を確認することができるようになってきましたが、依然として、ドライブレコーダーが備え付けられておらず、画像の確認ができない事故も少なくありません。
    この場合は、双方運転者の供述や、事故現場に残された事故の痕跡(スリップ痕、擦過痕など)を手がかりに、事故態様を検討するという、専門的な対応が必要となります。
    また、一般的な類型に当てはまらない事故においては、これに類似した判例を探したり、他の類型と比較しながら過失割合を検討するなどします。

 

5 終わりに
  過失割合を検討するに当たっては、事実の確認と、これに対しどのような過失割合を適用するかを判断するに際し、専門的な判断が必要となります。
  過失割合について疑問をもたれた場合は、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

判例について

カテゴリ: その他

1 はじめに
 判例(裁判例)は、過去に出された裁判所の判断(判決が典型例ですが、これ以外の「決定」「審判(家庭裁判所での判断)」と呼ばれるものもあります。)ですが、これがどのような役割を果たしているが、一般の方はご存じないのではないかと思います。
 判例の役割について、ご説明させていただきます。

 

2 判例と裁判例の違い
 過去に出された裁判所の判断について、一般的には「判例」ということが多いですが、時に「裁判例」として、判例と区別する場合があります。
 区別される場合、判例は最高裁での判断であり、裁判例は、最高裁以外の裁判所(高裁、地裁など)による判断をいいます。
 このような区別がされるのは、次に説明するとおり、判例と裁判例では、その重要性や役割が、全く異なるためです。

 

3 判例と裁判例の違い
 ⑴ 判例は最高裁の判断+実務の指針
 判例は、最高裁の判断です。
 裁判は、地裁、高裁、最高裁と進んでいき、最高裁の判断が最終的な判断となりますが、その過程で、同じ法律上の問題について、ある裁判所ではAとの答えであったのに対し、別の裁判所ではBというように、裁判所ごとに判断が分かれた場合、最高裁は、A,Bのいずれか、あるいは新たにCと判断(答え)を出すことで、その後は、同種の問題が生じた場合、先の最高裁の判断が、その後の問題についても適用されることになります。
 つまり、いったん出された最高裁の判断は、その後も維持される(ただし、例外的に変更されることもあります。)ことで、裁判所全体の判断の基準となります。
 仮に、過去の判例(最高裁の判断)と異なる判断を、他の裁判所がしたとしても、その判断は、判例に反することを理由に訂正されますし、異なる判断をした裁判官については、判例を見落としたと批判されることにもなります。
 判例は、裁判所全体の指針としての役割をもっています。

 

 ⑵ 裁判例は、あくまで過去の例
  ア これに対し、裁判例は、あくまで、ある裁判所がそのような判断をしたとの過去の事実にすぎず、これが当然に、その後の実務の指針となるものではありません。
    これは、先ほどの例のように、同じ問題でもAとBといったように、裁判所の判断が分かれることがあることからも明らかです。
    同じ問題について、最高裁以外の裁判所の判断が分かれている間は、たとえ自己の見解と同じ裁判例があったとしても、これと同じ判断を最高裁が行い、実務の指針となるかについては、まだ確定していません。
    分かれた判断について、最高裁が最終的な判断をすることにより、初めて、その後の実務の指針となります。


  イ それでは、裁判例があくまで個別の例に過ぎず、全く役に立たないかというと、そうではありません。
    最高裁の判断が未了であり、複数ある結論のいずれかを取るべきか考える際に、裁判例に記載された「判断に対する理由」を比較、検討することで、あるべき結論が見えてくる場合があります。
    裁判例には、解決の糸口を示す役割があります。
    実際、最高裁の判断も、それまでに出された裁判例や、学説などの文献を比較検討した上で、行われているものです。
    また、交通事故などにおける慰謝料や、量刑(ある犯罪に対して懲役何年とすべきかを検討するような場合)を決める際、似たような事例についての、他の裁判例を比較し、慰謝料額や量刑がどのようになっているかを検討することで、今起きている裁判の結論を予想したり、同じ事例なのに裁判所ごとに結論が大きく異なるという、不公平な事態を避けることができます。
   
4 結論だけではなく理由も大事
 上記イのとおり、裁判例を比較するためには、結論の前提となった理由を理解することが必要になります。
 理由がきちんとしている(結論に至る内容について、一貫している)と、最高裁も同様の結論・理由とする可能性が高くなります。

 

5 終わりに
 時々、ご自身の結論と同じ裁判例(最高裁以外の裁判所の判断)を見つけて、それでよしとしている方がいらっしゃいますが、それではだめなことについて、おわかりいただけたかと思います。
 判例・裁判例を検討したり理解するのは、一般の方にはなかなか難しいと思いますので、判例の検討などが必要な際は、専門家である弁護士にご相談ください。

ご自身の過失割合が大きい場合の対処法について

カテゴリ: その他

1 過失割合について 

 自動車どうしの事故の場合、一方が全部の過失割合を負担するという場合は、赤信号無視での交差点進入など、一部の類型に限られています。
 これは、道路交通法において、双方の運転者に対し、安全に対する義務(事故を起こさないようにする義務)が規定されているためです。
 例えば、交差点での安全運転義務(36条4項「~できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」)、車両運転一般に際しての安全運転の義務(70条「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」)などです。

 

2 過失割合の定め方
 これまでの実務や、裁判例の動向を踏まえ、事故の類型ごとに、一定の過失割合が定められています。
 例えば、優先道路走行中の車両と、側道から進入しようとした車両とが衝突した場合、側道の車両は優先道路進行車両の走行を妨げてはならないこと(道路交通法36条2項)から、優先道路走行車両の過失割合を10、側道からの車両を90とするのが一般的です。
 また、交差点で、双方の車両が対面する状態で、かつ、赤信号の状態で交差点に進入し、直進車と右折車が衝突した場合は、双方が赤信号無視であることから、50:50とされています。

 

3 自分の過失割合の方が高い場合

 

 ⑴ 事故の過失割合が大きい場合、相手方からの賠償 額は、その分、大きく減額されてしまいます。
   例えば、上記10:90の事例で、修理費が100万円発生したとしても、過失割合が90とされてしまうと、相手方には10万円しか請求できず、残りの90万円を自己負担しなければなりません。
   治療費が100万円であった場合も同様です。
   過失割合が大きい側としては、相手からの賠償額が大幅に減額されてしまうことについて、あきらめるしかないのでしょうか。
 

 ⑵ 自動車賠償責任保険の利用
  ア 自動車賠償責任保険は、慰謝料の算定においては、他の慰謝料の算定基準(裁判上の基準など)よりも低い基準となっていますが、過失相殺がされるのは、過失割合が7割以上の場合であり、かつ、過失相殺による減額の割合も、過失割合をそのまま適用するのではなく、減額をしない場合と比べて、2割から5割の減額にとどめられています。
    これは、自動車賠償責任保険が、事故の被害者を保護に重点を置いているためです。
  イ 上記の過失割合90の場合では、けがを理由とする保険金の減額は2割にとどまることになりますし、50:50の事例では、過失割合が70より小さいため、減額されません。
  ウ このため、ご自身の過失割合が大きい場合は、相手方に請求する前に、自動車賠償責任保険からの支払を受ける方が得策です。
  エ ただし、注意しなければならないのは、自動車賠償責任保険による補償は身体に対する損害であり、車両の修理費のような物的損害は対象外であるため、修理費については使用できません。
    また、いったん、自ら医療費などを実際に支払った後でないと、同保険に請求することができないので、いったんは、自ら費用を支払う必要があります。

 

 ⑶ 車両保険及び人身傷害保険の利用
   法律により加入が義務づけられている自動車賠償責任保険と異なり、車両保険及び人身傷害保険については、任意での加入となりますが、これらの保険からの支払であれば、過失相殺による減額がありませんし、相手方が無資力である場合、相手方から支払いを受けられないという事態を避けることができます。
   また、人身傷害保険の保険金は、過失相殺による減額分に充当されることとされているので、人身傷害保険からの支払と、相手方からの支払(過失相殺されない部分に対する支払)の両方を受けられるというメリットもあります。
   保険料の負担はありますが、もしものときに備えておくことが有益です。

 

 ⑷ 過失割合を小さくする
   先ほど、事故の類型により過失割合が定められている旨をお伝えしましたが、相手方が法定速度を超過していた場合など、過失割合を修正する事由が定められている場合があります。
   このような事由を主張立証することにより、事故の過失割合を小さくし、相手方からの賠償義務額を増やすことができます。

 

4 終わりに
  ご自身の過失割合が大きい場合でも、上記のとおり対応する方法がある場合もあります。
  お困りの際は、弁護士法人心・東京法律事務所の弁護士をはじめ、当事務所の弁護士にご相談ください。

休業損害について

カテゴリ: その他

1 交通事故により、けがをしたことが原因で、お仕事を休まざるを得ない場合があります。
  この場合、お勤めの方と、それ以外の方(主婦(主夫))とでは、休業による損害を認めてもらうための資料や、損害の算定の方法が異なります。

 

2 お勤めの方の場合

 

 ⑴ お勤めの方の場合は、自動車賠償責任保険(以下「自賠責保険」といいます。)にて使用している所定の書式(休業日の記載のほかに、事故前3か月間の給与額についての記載欄などがあるもの)に、お勤め先の給与担当者などが記載し、会社がその記載が正しいことを証明する旨記載した、休業損害証明書を提出することで、休業損害が認められることが一般的です。

 

 ⑵ 被害者以外の者が記載内容を確認し、証明することになるので、その内容を巡り争いとなることは少ないのですが、以下のような問題が生じることがあります。
  ア 休業日1日当たりの金額を算定するに当たり、3か月の合計額につき、90日で割って算定するのか、それとも日曜日などの休日を除いた稼働日の合計日数(上記90日よりも少ない日数となり、1日当たりの金額が増えることになります。)で割って算定するかの問題。
    90日で割るのは自賠責保険における算定方法なのですが、我々弁護士が示談交渉に当たる際、稼働日の合計日数で割る方法で相手方に請求し、このとおり認められることも多いです。

 

  イ 事故直後の体調不良を理由とする休業や、通院日に該当する日の休業(通院日の確認は、医療機関が作成する診療報酬明細書にて確認できます。)は、休業の必要性があり休業日として認められることが一般的であるのに対し、事故日から期間が経過した日で、かつ、通院日には該当しない日については、休業損害証明書に休業日としての記載があったとしても、事故を原因とする休業日には当たらないとして、この日についての休業損害が認められないことが多いです。
    休業による損害が認められるのは、単に休業したことのみでは足りず、「事故によるけが(体調不良)が原因で休業した」ことが必要であるところ、通院日以外の日における休業については、けがや体調不良による休業であることが立証されないと、事故によるけがなどが原因で休業したと認めることはできないためです。

 

 ⑶ 社員ではなく役員の場合、休業損害が認められないことがあります。
   これは、社員が、所定の労働時間に実際に稼動することにより賃金を得ることができる、逆にいえば所定の労働時間に稼動しなかったのであれば賃金を得られず、これが損害となるのに対し、役員の場合は、いわゆる年俸制などのように、定められた労働日や労働時間がなく、事故により稼動できない期間があっても、そのことが直ちに報酬不払いの理由とはならないことによるものです。
   例えば、年俸600万円として、労働時間の多寡や有無にかかわらず、毎月50万円を支払う旨の契約であれば、事故により稼動できない期間があったとしても、被害者は所定の報酬を請求することができ、事故による損害は発生しないことになります。
   ただ、これは役員と会社との契約内容により異なり、中には、役員と社員としての両方の身分を併せ持つ方もいることから(使用人兼務役員などと呼ばれ、報酬と賃金の両方が支払われるため、他の一般社員と同様に、賃金部分について休業損害が発生することがあります。)、とにもかくにも、まずは被害者と会社との契約内容を確認することが必要となります。

 

3 主婦(主夫も含む)の方の場合

 

 ⑴ 主婦の場合、お勤めの方と異なり、休業を証明してくれる人がおりません。
   このため、けがの内容や程度(主に診断書にて確認します)に応じ、必要な休業日数を判断することになります。
   一般的には、事故の直後が一番けがが重く、徐々に回復していくのが通例なので、回復の度合いに応じて、休業の範囲・日数も限られていくのが通常です。
   ただし、通院をしたことにより、その間、家事をする時間が通院に充てられたこと(通院のため家事をすることができないこと)を理由として請求する場合は、けがの程度にかかわらず、当該通院時間分を休業損害として請求することができます。

 

 ⑵ お勤めの方の場合は、休んだ範囲が日にちや時間単位で明確になるのに対し(これらが休業損害証明書に明記されるため)、主婦の場合は、被害者本人の供述やけがの程度を考慮して、必要な休業の範囲を判断することになります。
   また、一口に家事といっても、労力を要し、比較的身体への負担が大きいもの(風呂掃除など)から、裁縫や家計簿の記載など、軽作業に分類されるものまで多岐にわたるため、けがの程度により、一部の家事をすることができる場合もあります。
   このため、日数や時間にて休業の範囲を定める方法のほかに、「健康なときの50%程度」などのように、割合にて休業の範囲を定めることもあります。

 

 ⑶ 主婦の方の一日当たりの休業損害は、女子平均賃金における年収を365日で割った金額とされることが多く、概ね、1日当たり1万円程度となります。

 

 ⑷ 主夫の方の場合、一般的な主婦の方と異なり、家事に従事したことの証拠(家族や近所の方の証言や、被害者自身が家族分の食材の買い物をしたことがわかるレシート(被害者名義のクレジットカードで支払われたことがわかるレシート)など)の提出を求められることがあります。
   また、世帯内に、家事に従事できる他の方がいる場合には、認められにくくなります。

 

4 終わりに
  これまでにご説明したとおり、休業損害についてはいろいろと難しい問題が発生することがありますので、これらについてお悩みの場合は、弁護士にご相談されることをお勧めします。
 

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