過失割合について

過失割合について

 

1 過失割合とは何か
 過失割合とは、事故に対する、当事者双方の責任の割合を示したものになります。
 全体の責任割合を10あるいは100として、そのうち各当事者がどの程度の責任を負うべきかが示されます。
 例えば、A車とB車が衝突し、各運転手に50万円の損害(治療費)が発生した事故において、過失割合がA車とB車共に50(過失割合の合計は100)とされた場合は、A車とB車は、共に、相手方に対し25万円(=50万円×50÷100)を支払えば済むことになります。
 A車が0、B車が100(B車のみが責任を負う事故)であれば、A車は50万円の治療費の全額を賠償してもらえるのに対し、B車は、相手方からの賠償を受けることができず、治療費は自分で負担しなければならないことになります。

 

2 過失割合の定め方
 交通事故は、これまでに多数の事故が発生し、かつ、これに対する裁判所の判断が積み重ねられてきています。
 同じ類型や態様の事故であるにもかかわらず、裁判所ごとに判断が異なっていたのでは、不公平になります。
 このような事態を避けるために、事故の類型ごとに、過失割合がどうなるかについてまとめられた書籍が発行されています(判例タイムズ社発行の「過失相殺率の認定基準」)。
 この書籍は、法律そのものではありませんが、交通事故を専門的に扱う裁判所の部署に属する現職の裁判官が作成に携わっていることから、実際の裁判における一般的な基準として用いられています。
 また、その前段階での事故当事者間の交渉や、保険会社とのやりとりなどにおいても、上記書籍を基に過失割合が検討されており、過失割合を検討するにあたり必須の資料となっています。
 
3 過失割合の修正
 もっとも、全ての事故が、上記書籍に記載されたいずれかの類型に該当するとは限りません。何事にも、例外は存在します。
 このような場合は、過去の裁判例を調べたり、比較的似ていると思われる類型の過失割合と比較しながら、検討していくことになります。
 また、ある類型に該当していたとしても、著しい速度違反があるなどして、標準的な過失割合が変更される場合があります(例えば、本来はAが20、Bが80の過失割合であるところ、Aに著しい速度違反がある場合、Aを30、Bを70とする場合など。)。
 過失割合について一定の類型化がされていますが、なお、個々の事故の態様に応じて個別的に検討すべき必要性が全くないというわけではありません。
 また、速度超過の有無や、事故発生時の信号の表示が何色であったか(青なのか、赤なのかなど)といった、過失割合の前提である事実の有無それ自体を巡り、深刻な争いとなることも珍しくありません。

 

4 まとめ
  一定の類型化がされているとはいえ、過失割合についての判断には、様々な検討を要する場合があります。
  お困りの場合は、ぜひ当事務所の弁護士までご相談ください。
 

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