事故発生から初診までの間隔が空いてしまうことの問題点について

1 はじめに
 私が在籍している弁護士事務所では、交通事故の案件を多く依頼いただいていますが、その中に、事故発生日から最初の受診日までの間隔が空いてしまったり、後遺障害と思われる症状が、事故日から一定の期間をおいて発生したとされる事案に当たることがあります。
 このような場合、「被害者の症状が、事故により生じたものであるか」という問題が生じることがあります。
  
2 間隔が空いてしまうことによる問題点
 「交通事故によりけがをしたこと」を理由に損害賠償請求をする場合、当然のことではありますが、「事故によりけがをした」ことの立証が必要です。
 事故との間隔が空いてしまうと、「事故以外の他の原因で発症したのではないか」との疑念を持たれてしまうことになります。
 頸椎捻挫や腰椎捻挫は、事故直後に直ちに発症するのではなく、しばらく時間をおいてから痛みを感じることが多いですが、事故日との間隔が空けば空くほど、疑念を持たれてしまうことになります。
 そのような事態を避けるためには、事故後、身体の異常を感じたら、なるべく早めに受診することが大切です。

 

3 後遺障害の認定における問題
 後遺障害の認定に当たっては、事故後の症状が、後遺障害の認定要件に当てはまるかどうかが問題となることが多いですが、その前に、症状が事故により発生したかどうかが問題となることがあります。
 この場合も、事故と症状発生との間隔が問題とされることがあります。
 一例として、脊髄の損傷が確認され、これにより、手で持った物を頻繁に落としてしまうような状態になったことについて、後遺障害の認定を申請したところ、医療機関の診断書などには、上記の症状がないとされていることを理由に、後遺障害が認定されなかった事例がありました。

 

4 まとめ
 これまでお伝えしたように、事故発生日と、症状が発生した時期とが離れていることにより、必要な賠償が受けられないことがあります。
 このため、事故後異常を感じたら、なるべく早く受診し、症状をきちんと伝えることが大切です。
 

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